学生になると、みんながみんなティファニーのビーンズか
オープンハートを身に着けている時代。
ジュエリーはプレゼントしてもらう物でした。
就職して初めてのボーナスの日に、
一回り年上の憧れの先輩より使い道を尋ねられました。
コートかバッグでも買おうと思っていましたが、
『わたしは最初のボーナスでこのダイヤのペンダントを買ったのよ。
コートやバッグも良いけれど、
ジュエリーは何年経ってもこうやって身に着けられるの。』
と、彼女は言いました。
そういえば、母もアメシストのリングを最初のお給料で買ったと話していたっけ…。
それからは、ジュエリーは自分で買うものとなりました。
わたしは、ボーナスでいくつものジュエリーを買い足していきました。




■ジュエリーとわたし
物心がついたころより、綺麗な色が好きでした。
特に雨上がり、アスファルトにあるオイルの虹色のしみを
とても綺麗に思ったものです。
母には、汚いから触らないで…と言われましたが。
また、母の持っていた本の中の
誕生石についての綺麗な宝石の写真が載っているページが大好きで
ずっと眺めていました。
綺麗な色石にはうっとりとしていました。
母は、そんなに沢山のジュエリーを持っているわけではありませんでしたが、
たまにお手入れのためにジュエリーボックスから一度に出している時には、
わたしはそのジュエリーについての話を聞くのが大好きでした。
それは、元々は祖母のかんざしだった大きな橙色のサンゴだったり、
羽織紐だった小さく可愛らしい真珠たちだったり…
それらは、もしかしたら曾祖母やその前からのモノなのかもしれません。
中でも、母が働いていた時に買ったアメシストのリングは、
高さのある深い紫色のカボションカットで、
透き通った色石が好きだった子供のころのわたしには、
とても魅力的で小さな指に着けてみては満足していました。
少し大人になった気分でした。

神奈川県生まれ 千葉県育ち
実践女子大学卒業。
トヨタ自動車勤務後、
ヒコみづのジュエリーカレッジにて、
現在まで勉強中。
ジュエリーコーディネーター2級
パーソナルカラリスト検定1級

プロフィール
Junko Akabane

サンテラス付
JUNKO

結婚後、わたしが喜ぶので主人は何かの記念にはジュエリーをプレゼントしてくれます。
それは小さなものから、わたしの誕生石の真珠の素敵なジュエリーまで。
やはり、大好きな人からのジュエリーは格別に嬉しいものです。
そんな中、色石についてもっと知りたくなってきました。
ジュエリーは、長い間いつまでも色々な物語を背景に、
それを持っている人を美しく見せ、また喜ばせてくれます。
綺麗な色石を使ったジュエリーや、
大好きなイヤリングのジュエリーを作っていけたら…と思います。
制作の軌跡

3rd-54 リングの石座のワックスを元に、ペンダントの制作を開始! こっちは、すっきりとした軽めのデザインにします。 石の量も少なめです。

3rd-53 カラーストーンたちの石留作業も無事に済みました。 アイオラ イトは柔らかい石でうっかりすると欠けてしまいます。ナナコタガネが当たらないように注意して…。 マーキースとスクエアの石留も少し慣れたかなぁ? 赤い印は、ダイヤモンドの彫留めの場所。黒い印は、爪の位置。 曲面に打つので、ドキドキ…。

3rd-52 ようやく隙間を埋め終わりました。ほっ。 これからダイヤモンドポイントで面を整えます。 その後は遂に石留作業!!

3rd-51 裏側から見たところ。 赤く打った点は、爪と石座の間の隙間。これをロウで埋める作業がこれまた一苦労…。非常に込み合っている上に腕が邪魔なので、思った所にピンポイントで火を当てるのがなかなか難しい。火を当てているとロウが勝手に動いてしまう。

3rd-50 爪のデザイン画を元に爪を立てていきいます。 思った以上に込み合っていて、もうカオス… でも、何とか立てられました(汗)

3rd-49 上がってきました♪ ワックスの段階で、かなりスッキリさせたので軽やかな仕上がり。 さぁ、これから怒涛の爪立て作業が待っています…

3rd-48 鋳造屋さんに出している間に、爪のデザインを考えます。当初、共有爪で…と簡単に考えていましたが、石座の高さや大きさが全く違うので無理ということ。それぞれの石座に爪を立てることにすべく、こちらもバランスを考え配置。

3rd-47 厚みを取ってスッキリさせて、鋳造に出します。

3rd-46 先生と相談し、石の配置を変更。削って、足して…。満足のいくバランスになった。

3rd-45 ペアになるワックスを彫り、石を置いてみました。 あれ?バランスが気持ち悪い…

3rd-44 デザイン画を見ながら石をワックスに置いていきます。やはり数が全然足りないので足していきます。するとバランスが変わってくる…。

3rd-43 3連のリングのデザインがほぼ決まったところで、セットになるもう1本のリングに取り掛かります。 3連のリングの下のラインや高さに合わせて削っていきます。

3rd-42 石を置いていきます。 ここで、石の位置を再確認。もう少しずらした方がいいとか、石を足してみようとか、バランスを見ながら変更していきます。

3rd-41 石のアウトラインをワックスに描き、スパチュラで彫っていきます。石座を揉んで…

3rd-40 リングの製作開始! ざっくりとしたイメージから、使う石を決めて並べ、それを元にデザイン画を描きます。 立体にすると、平面に描いたデザイン画で使う石の数では足りず、さらに石を足しながらバランスを考えていきます。

3rd-39 そして、最後。 真ん中にある曲線の部分にダイヤモンドを留めていきます。 ここでも勉強することが沢山ありました。 まず、石を置く位置ですが、基本的にナナコタガガネが入るところでないと置けません。なので結果的に側面近くには置くことを諦め割と正面に並ぶことになりました。 そして、石座を揉むことも曲面なので悩ましい…。なるべく面に対して垂直に穴を揉みたいのですがどうしても少しずれてしまいます。するとミル打ちの時に上手く留まらず…。超音波洗浄で何度も取れてしまいやり直し。 でも、すべてが留まった後にはダイヤモンドの輝きに癒されました♪

3rd-38 それぞれの石座に青い石たちをセットしていきます。石留めしていくとだんだん慣れてきて上手に留められるようになっていくので、石を置く順番はバラバラに…。 と、思って留めていったのですが、実際は石の高さの方が重要ということを学ぶ。 高さの高いモノから留めてしまうと、低いモノを留めるときにナナコタガネが高い石のガードルに当たってしまって回せないのです…。 石座に置いてみて、低い位置にある石から留めるということが大切!!

3rd-37 ブロ ーチピンがまっすぐ付くように蝶番に縫い針を仕込む。この縫い針にロウが付いて抜けなくなってしまうハプニングも…。ロンドピン、手ごわい。

3rd-36 もう一つの山場。裏にブローチピンをロウ付けすること。今まで苦労してロウ付けした石座が裏側から火を当てることにより動いてしまう恐怖… あぁ、形を読んでくれる粘土みたいなロウ付け台があればなぁ…とつぶやいてみたところ、先生より素敵なお返事が。 焼き石膏を使うという案。これは、素晴らしい!

3rd-35 この作品の制作の中での一番の山場!石座と本体の合体のロウ付け。本体が大きいので、小さな火ではなかなか温まらなくロウ付けが自宅では出来ない…。でも、融点が高いのでロウ付けは全く怖くない。…と、調子に乗ってやっていると、イエローの石座の爪を蕩かす事態に。ホワイトとイエローの合体は難しい。

3rd-34 ぶら下がるペアシェイプに丸環をロウ付け。

3rd-33 鋳造屋さんから金属になって帰ってきました。 星の一粒石をロウ付け。

3rd-32 すでに金属になっている石座を置いてみてバランスをチェック!いい感じかな。

3rd-31 そして、その裏抜き。 表面に彫留めをすることを考えてあまり薄くしすぎないように… でも、ブローチにすることを考えると軽くしなくては。

3rd-30 本体になる部分。 綺麗なカーブが出るようにスパチュラで表面を削っていきます。

3rd-29 横から見たところ。 この段階では、まだ爪が巨大ですが、金属になったときに爪になる部分をえぐって小さくしていきます。

3rd-28 今度はワックスで石座を作成☆ 星に見えるかしら?

3rd-27 石座と石の組み合わせが分からなくならないように、石座のデザインそのままに石を台紙に貼り付けておきます。

3rd-26 もう一度全体のバランスを見るべく、すべての石座を並べてみます。 実際にこれだけの石座が組まれると、バランスが違って見えてきます。 当初の位置とは違ったところに置いてみてバランスチェック。

3rd-25 小さいグループ同士をロウ付けしていきます。 ロウ付けするもの同士の重さを均等にしないと、火を当てているうちに軽い方が浮き上がってしまいます。 歪みがなるべく生じないように、焼いた縫い針を通してロウ付けしていきます。

3rd-24 石座のロウ付け開始! まずは、2~3個の小さいグループを作成。

3rd-23 仮で作ったワックスの横にカーブに沿うように石座たちを置いてみます

3rd-22 別の形の石座をロウ付け。 アイオライトを仮置きしてみました。 やはり石が納まるとジュエリー感が増します☆ 綺麗な紫色で大好きな色。綺麗♡ 硬度7.5なのですが、モロっと欠けやすいので余分に用意しました。

3rd-21 左右の色の違いがわかりますか? 左は鋳造屋さんから帰ったままの色。 ちょっと真鍮みたいです。 右は本当の色。表面をざっくり削るとこの様に本来の色が登場します。 やはりこの色でなくては。

3rd-20 切り取られた湯道たち。 小さいけれども、これらも大切な素材なので無駄にしませんよ。 これらも今後変身予定。

3rd-19 これらの石座がなんと48個… 湯道を切って形を整え、割り跡を取ってざっくり磨く。 これだけでも数日を要します。

3rd-18 おかえりなさい🎵 無事に鋳造屋さんから戻りました。 silver→goldにご昇格。 湯道がごっそり付いております。

3rd-17 コツコツ作った石座たち大集合!! これらを原型にします。 これからもう少し綺麗に仕上げます。 それが済んだら… さぁ、鋳造屋さんへの旅立ちだ!

3rd-16 そして、大きさはコレくらい。 右にあるのは、見てのとおりお米です(笑) わたし、きっとお米に絵が描けます!

3rd-15 これは4本爪ですが… こうやって石座を挟むように爪を曲げてセットすると楽チンです。 まるで小さな鳥かごみたい🎵

3rd-14 コレは何でしょう? 正解は、3本爪。 以前習った爪の立て方とは、ピンセットで石座と爪を一度に挟んでロウ付けする方法。 でも、ワイヤーセッティングだとピンセットが安定しないし、何より小さいのであっという間にピンセットとロウ付けされてしま うのです…。 先生に相談したところ、まず爪だけを3本付けてからそれをセットすればピンセットで持たずに置いて出来るとのお返事。 そんなわけで、作ったメルセデスマークです。
