ブツブツと穴のあいた有機物
雲と空の高さ
したたる水の音(雨を含む)
きしむ床
ティーカップをソーサー
に置くときの音
くすんだ寒色
密生している苔
黄色
コーヒーを淹れている部屋
自然史博物館の廊下
ゼラチン
香る草全般
ワンタン
鶏の出汁
中太縮れ麺
雷
ピアノの音色
かすれ声
デパートの包装紙
sence of tamako
エンボス加工
ガーゼ生地
青梅の実の表面
キノコの裏側
皮膚のたるみ(老人)
薄いグラシン紙、セロファン
思考にとらわれがちなわたし
五感を研ぎすまし、目に見えないものを信じ、
こつこつと積み上げていくこと、
心が震える瞬間を見逃さないこと、
なによりも難しく、愛おしい、
それが私にとっての つくること
心地よく 寄り添える存在を目指して
ジュエリーをつくります
Tamako
制作の軌跡
表面を整え、 試しに火を当ててみると、 綺麗なブルーグレーが見えてきました。 カナさんのチタンの作品で知った構造色を おすそ分けしていただきました。
シルバーと鉄のコンビネーション。 鉄の深い色、嬉しい。
なんだか海の生物のようなものができた。 生々しい。
なまして、叩いて、 なまして、叩いて、
シルクがなくても大丈夫になった。 柔らかい素材でなくっても大丈夫じゃないかと思えるようになった。 もっと深い色が欲しくなって、 鉄を使ってみることにした。
ふわりと指に舞いました
最初は苦しくて仕方なかった鏡面磨きも、 ちゃんと向き合おうと思えるようになった、 少しだけ気持ちよくなってきた。
水とも繋がった気がする
シルバーの面とヒートフォームが繋がった気がした。 素材はなんでもよかったんだ。
リングは丸じゃなくっていいんだった。
シルクとシルバー やさしく交わえてきたかな。 影、綺麗だな。
ぱくぱくぱく 一つ一つのパーツを 味わえるようになってきた。
シルクを挟む、シルバーも 泳ぎだしたぞ。
シルクを膨らませることばかり考えてた。 少しずつ自由に。 シルクが踊り出した。
大胆な揺らぎになってきました。
ちょっと新しいリングを作ってみようと思います。
先生のレッスンで、 出来上がったバングルをお見せする。 綺麗に並べるて見せることばかり考えて、 力んでしまっていたところ、 先生がふわっと優しく、無造作に置いてくださいました。 その時に生まれた、 空気感、 光、 影、 あ、キレイだな〜と息をのむ瞬間。 この感覚がジュエリーだと、 気づかせていただきました。
布の奥に鏡面がきらりと見えたらいいな。
腕に水を纏うイメージで。 今までリングだとか、 小さなサイズ感でしか想像できていなかったので、 大きく捉えることがとても難しい。
布を挟むパーツたち。
今度はもう少し大きく、 腕に纏えるものを作ってみようと思います。 面を感じるけど、 腕に纏えるボリューム感を探します。
リングを試着していただきました。
すすぐと布が水になる。
布をだんごのように小さくくくり、染めてみます。 色を重ねて濃淡が出るかも試してみます。
とってもシンプルですが、 濃さの違うアオ、 に染めてみました。 自然で生き生きとしたアオに染まりました。 ジュエリー作品で使う布は、藍染めするわけではないのですが、 藍を建て〜染めるまでの、一連の工程を学べた貴重な経験となりました!
布をくぐらせると、 最初は黄色かった藍の染料が、 空気と反応してアオになりました。
藍を建てる。 表面にうっすらとアオい膜が見えた。 空気中の酸素に反応して色素がアオに変化しているそうだ。 目に見えない物質(酸素)が大きな仕事をして、初めて見える色なんだなぁ。 昔の人が見つけたこの大発見。こうやって一つ一つの工程を踏んで、美しいアオが生まれる事に、感動しました。
染色のことをもう少し知りたくて、 蓼藍の乾燥葉染めのワークショップに参加してきました。 静かな鎌倉の古民家で草木染め。なんとも豊かな時間。
すべて留まると迫力がありますね。 ここで終わりではなく... 石が割れないように布を留めていきます。
留まりました。 石の高さも全体のバランスも、だいぶ!だいぶ良くなりました。
石のサイズと間隔のバランスはどうか、微調整を重ねます。
さて、最後、一番石の数の多いリングです。 穴を開けながら石のサイズを再調整。
全体のバランスを見ながら 少しずつミルで石を留めていきます。 やはり真ん中の石が少し離れてしまいました。 起伏が予測しきれないので、 次からは...レシピ通り!にこだわらず、 間隔を見ながら石のサイズを変えてみたりして、 リングの起伏にあったバランスを作っていこうと思います!
すべての穴を石のサイズに揉んでいき、 石を合わせます。 ここで大事な事に気づきました... リングの起伏が予想できておらず、想定していたよりも石の間隔が開いてしまっている様子...
小さな石穴を開けていきます。
1.2~1.7mmのキュービックジルコニアを並べ、心地よい曲線を探します。 1mm未満のわずかな大きさの違いですが、こう見るとずいぶん大きさの差があります。
今回は、小さなキュービックジルコニアを波を打つようなラインで留めていく事にします。 石の真裏にシルクをリベット留めしますが、 リベット留めの際に石が割れないようにしなければ...裏のリベット用のポストとかぶらない位置に石をずらり!と並べます。
1号機では撮り忘れましたが、シルクの枠とかしめるためのポストは、 こんな感じでロウ付けされてます。
さ、2つ目のリングへ ここまでの作業はもう慣れたもんです。 (似たようなビジュアルですが2つ目です)
無事石も留まり、全体のバランスはこんな感じになる予定。
鏡面に磨いていると... 消しきれていなかったミルの掻き跡が... ロウ目まで出てきた(汗) 仕方なくレーザーで修正することに... ミルの掻きあとがたくさんあるのは位置が決めきれてないから。 しかも、掻きあとを消す前に石を留めてしまったから、 石が外れるのが怖くて修正ができなくなってしまった。 なんせ下手なので... まずは全体のミルの位置をバッチリ決めてから石を留めることにします。 工夫で技術をなんとかカバー。 失敗を重ねていきます。
本番のミル留め1号 かなり慎重に、全体のバランスを見ながらミルの位置を修正しながらなんとか打ち...
シルクと枠は、 硬化しすぎないソフトタイプの接着剤を少々仕込み、 木たがねでぴっちりと打ち、挟みこみます。
水面のように、 波のように、 面を作ります。
濃淡がはっきりと染まったシルクオーガンジーを使います。 このダイナミックな立体感がいいんだ。
シルクを挟む枠を、 それぞれのリングに合わせて作ります プロトタイプでは板を折り曲げて作ったので、 折れ目がまっすぐに見えてましたが、 今回は2枚の板をロウ付けして作りました。 全体がゆらゆらした形に。 パズルのピースができていくみたいで楽しい。
打ち出したときについた槌目が波紋を連想させる この模様をデザインにいただくことにしました。
起伏が出てきました。 最初は、輝く光の線を作りたいと思っていたけれど、 いつの間にか面を求めている。 水面に沿って反射する光は、面があるから感じられるようです。
欲しい形状と厚み、重さ、メレを留めることや、食らう火むらの厚みを逆算して、ちょっと厚めでスタート。 3つのリングそれぞれが重なっても良い形になっているかな? ここから焼きなまし、打ち出していきます。
面白いくらいに曲がって留まる! 目の癖、手の癖、身体の癖、 石が外れる! 揉む穴の深さ、ミルと石の距離、 ラインが汚い! 石の配置、ミルの位置 ルーペに慣れることにも一苦労。 でも、小さくて見えなかった世界が、前より大きく見えるし体感できるようになってきた。
水の中で所々眩しく輝く光のような、小さなキュービックジルコニアを留めてみることにしました。 石を留めることは今まで避けてきてしまった感があったので、是非チャレンジして一皮むけたいな。 というわけで、ミル留めを練習します。
いざ一号機へ! 波を打つ面のようなリングを作るので、 シルバーの板材を打ち出して形を作ることにしました。
これは、凪ぐ水面のような。
シルクを絞り染め。 水面のような模様に染まりました。 波少し荒め?になりました。
シルク越しに向こうの光が優しく透ける。 つけるたびにシルクのニュアンスが移ろい、 柔らかなたわみと、布の曲線がシルバーリングの曲線が交わる感。 きれいだな。 よし、これで作ってみよう。
つけてみるとこのようになりました。 シルクはとても軽やかに、ふんわりと膨らんでくれる。 シルバーの面がアクセントになってより光って見える。 シルクが重なる様子が透けて見えて、ゆらゆらしたラインが見える。
プロトタイプ用の布とリングを仮留め。 さて、どんな風に見えるのだろう?
3つのリングを同時に装着するとなると出てくるのは、 重さの問題。 全体が15g前後で調整することにしました。 1.5mmのシートワックスを使いましたが、火むらを剥くのに0.2~0.3mmは減り、さらに仕上げなどで1mm程度まで薄くしてようやくいい重さに。 鏡面以外にも、 ペーパーで荒らすバージョンもやってみました。
シルクが汚れないようにかしめる前に仕上げをする必要が! 鏡面にしてみると、曲面のうねりが水面のように輝いて見えるのが良い感じ。
シートワックスをsilver925に鋳造 まず、リベット留めのためのピンを立てる。 水平に穴を開けるのが至難の技。 ヒートフォームで支持しながら目視であけました。 それぞれロウ付けします。
立体的な構造にしよう!と意気込んで、 フレームは3箇所にすることに。 リングに3方向に立体的に、リベット留めしたいな〜と思っていたけれど、 ふと、全てが一体化している必要はないんだと言うことに気づく。 フレームそれぞれに、リングをつけてみるのはどうかな。 あ、シルクが水たまりみたいだ。 これ、やってみよう。
シワをつけるだけでは布っぽさが残るから繊維をほぐしてみては? とのアドバイスをいただき、頭に?を浮かべながらやってみると... 面がうねるように立体になった! シルクオーガンジーは硬めの質感ですが、ほぐれて柔らかくなるし、儚さや色っぽさなんていう、表情が出てきた!
リングにするのは、 フレームとリングをリベット留めをするのがいい? フレームに穴を開けて、リベットできるのか、のテスト。 ヒートフォームで支具をこさえてみました。 ヒートフォームは薄い銀を支えるには十分な硬さはあるものの、弾力性があるので、傷をあまりつけずに支えてくれる。
シルクの縁はまつり縫い。(ミクロのまつり縫いに3時間もかかってしまった...) 極細のテグスで縫ったら縫い目も目立たず、縁が際立つのが良い感じ。 縁がゆらゆらと曲線を作り出すのもすきです。 そこから、シルクの端を薄い銀の板で折りながら、ぴっちり挟みこみフレームをつける。 そして、波のようにうねるように曲げてみる。
もっと立体的な中に銀の線が覗くように。 こういう感じを手にまとうリングにしよう。
染料でランダムに染めてみた。 色の差が陰影を作ってくれる。 布の端に銀の板を挟みこみ 布ごしに銀のうすい板を透かしてみる。
シルクオーガンジーはとてもシワがつきやすい 洗濯機に入れてみたり、とにかく無秩序にシワを入れてみる。 シワに添って、立体的になる。
かなり時間がかかってしまった素材探し。 シルクオーガンジーを使って、いくことに決めることができました。 ここからが、スタート!
気付いたのは、このチュールのような 薄い布の存在の必要性。 私がイメージする、 五感が鈍くなる水の中は、 あの綺麗な光さえ少しぼやけて見えていてそれがよけいに美しかった。 そのイメージとこの薄いチュールがリンクした。
チュールを束ねて 積層させるイメージで銀線でリングにしてみたり、テグスでまとめてみたり... そうしていくうちにちょっと気付いたことがあって、
チュールを立体的に縫ってみたり
テグスの次はチュール。
いろいろ試す中で、 今何を見ているのか混乱してしまわないように(よく混乱するので)、 プロトタイプを常に見えるところに並べてみました。 これで私の頭も少しは整理できてくるはず。
水面に比べ、 とっても控えめで、 もっともっとぼんやりした でも、とっても美しい こう、見ている時の 体がふわっと浮くような、 視界が少し靄がかって、 優しい気持ちになれるような。 この感覚が私にとってとっても大切です。
水面で反射した光は、 大気中に、壁に、 あの模様を映し出してました。
この瞬間は今しかなくって、 次の瞬間には変化して、 見えたり でも、見えなくなったりして、 こんなに刹那的で儚くて、脆い世界だったんですね
と思ったら お風呂ということもあり、 すぐに水面が落ち着いて、 あの光景は、消えてしまった 光がただまっすぐお風呂の底に透過する。
あの光景は、 波の形や大きさに素直に、 うっすらと青い海の中で、 光が泳いでいるんだな ゆらゆらと 優しく拡散している。
うーーーん うーーーん なんだか無理矢理何かを産もうとしている。 あの光の中で身をまかせる感じは、 ふんわりしていて、 優しいんだよな。 こんなチュールのドレープの中に、 ふわっと身をまかせるような。 ふわっと ぼうっと。 ...
あんなにたくさん線がなくってもいいのかも。 でも 構造物として組み上げていくに、 強度がとても心配だ。